8:00 自宅発
9:00 入渓地点
登山 | 地点 |
9:15
9:45
10:15
10:55
11:25
12:05
12:30 |
入渓地点
670二股(F3)
730二股
880二股
920二股
稜線最低コル
頂 上 |
[3:15] | 所要時間 |
下山 | 地点 |
12:45
13:05
13:35
14:05 |
頂 上
三角山
第2登山口
入渓地点 |
[1:20] | 所要時間 |
15:00 昭和温泉(入浴)
15:45 帰宅
|
函館市の最高峰・袴腰岳には、直接登れる「新中野ダム・アメダスコース」と横津岳から通称・烏帽子岳(1078峰)経由で縦走できる「巴スカイラインコース」の2本の登山道がある。これまで13回登っているが、雪山以外はその登山道からの登頂ばかりであった。
なんとか沢から登れないかと地形図を見ると、新中野ダムへ注ぐ亀田川の上流の赤井川右股沢が、
烏帽子岳と袴腰岳とのコル(1)へ突き上げている。コルの直ぐ下まで沢形が認められるし、赤川林道から直接入渓できるので、登っている人はいるはずだ。しかし、ネット上ではまったく情報が見つからない・・・・。
ならば、偵察旁々、自分で行ってみようと、単独で挑戦することにした。沢は単独ではなるべく入らないようにしているが、今回は地元の山という気安さもあり、ちょっと冒険してしまった。函館市の水瓶の水源の最源流を遡る楽しみも合わせて・・・・。
新中野ダムの奧の赤井川沿いの赤川林道をずっと奧まで走る。その赤井川が林道の上のコンクリート部分の川床を流れて横切る地点を越えて600mほど進むと、右股沢が林道の下を潜って林道から離れる地点がある。
沢を覗くと、林道の下へ潜らせるための蛇篭で設えた小さな砂防堤状のものがある(2)。車を広くなった路肩に止めて身支度をして入渓。すでに標高620mである。
○予想に反した滝のオンパレード
水量は予想していたより多い。穏やかな流れに、滝などはないだろうとバカにして20分ほど遡ったら、進む方向に遮るような崖が現れる。地図にもその崖の記号があり、沢がS字状に曲がり、その上で3本の沢が合流している。もし、滝があるとすれば、その可能性が一番高いと思っていたところだ。
近づいていくと、
案の定、その崖の右側から7〜8mほどのつるんとした滝が落ちている。とても直登できる感じではない(3)。
単独なので、他人に頼ることはできないし、無理は禁物だ。これまでの沢登りの経験を生かしながら慎重に行動するしかない。ここは、少し戻って、右の笹と灌木の生えている急で小さな尾根状のところから上の林の中を大きく高巻いた。
高巻いて下りようとしたら、その上に、さらに7mほどの滝が続いているのが樹間から見える(4)。なんとか登れそうな感じなので、その滝の下に下り立つ。ここは、左側から取り付き、なんとか登ることができた。
二つも越えたのだから、もうないだろうと思ったら、さらにその上に2本の滝が合流している(5↓)。まさか、こんなに連続して滝が現れるなどとは考えてもいなかった・・・・。この合流する滝がが670二股だが、地図通りに、右後ろにも小さな滝が合流している。 進むのは左沢なのだが、どう見ても、直接登ることは無理なようだ。そこで、右滝の倒木を利用して途中まで登り、木の生えている薮をトラバースして左滝の上へ下りた。
二股の滝を越えてからも岩盤の上を滑り降りるような細い滑滝が続く(6↑)。730二股は合流する水量がそれほど変わらない。地図で確認して右へ進む。
次に滝が現れるとしたら、やはり崖マークのある780辺りかな?と思いながら登っていくと、案の定6mほどのF4が現れた(7↑)。ここは、右側の小沢から登って高巻いて上に出た。
この調子なら、コンタが詰まっている850までの間にも滝があるかも知れない・・・と登っていく。
案の定、820付近で、まず、ゴロンとした赤茶けたボコボコ岩の6mほどのF5が現れる。これは、左端を直接登ることができた(8↑)。
そこを越えても、右上に岩崖が迫り(9)、
3〜5mほどのF6〜F8が連続して現れる。直登したり、ルンゼ状の所をシャワークライミングしたりで突破する(10)。
850を越えると、地形も穏やかになり、。もう滝はなさそうな感じ・・・・。ここまでの640〜850までの間は、まさに滝のオンパレードだった。まさか、こんなに変化に富んだ沢だなんて思いもしなかっただけに、凄く特をした感じだった。
沢も狭くなってきて、岩が苔で覆われた穏やかな流れが続く。徐々に水量も少なくなり、両岸から笹が迫ってきて、足元の流れを見ながら進むようになる。
900〜930の間は平坦で、沢も笹原の中をくねくねと曲がりながら続いているので、足元に注意しながら歩かなければ、沢を見失いそうになる。
気が付いたら、周りがガスで覆われ始めている。左側に通称・烏帽子岳の南斜面の崖が見える(11)。
チョロチョロ状態の沢を、笹を掻き分けながら進んでいくと、目の前に920二股が見える。ここは右へ進む(12)。その先にも狭い沢地形が続くが、沢を覆った笹を掻き分けての薮漕ぎ状態になる。
もうこの辺りは、完全に函館市の水瓶の源流部である。最初の一滴はどの辺りで、どのような形で現れるのかと、足元のチョロチョロ流れに注意しながら進む。
960付近で、岩盤の直径3cmほどの穴から滾々と流れ出る湧水を発見。その先には、もう水流はない・・・ということは、これが、新中野ダムに注ぎ、函館市の水道の元となっている最源流の水である。今回の冒険遡行は、この出会いも楽しみの一つであった。コップに汲んで飲んでみる・・・冷たくて美味しい。水筒にも汲む(13)。
その先にも、微かな沢形は続き、970で二股に分かれる。稜線上の最低コルに近い右股を進むが、やがて、はっきりしなくなる。稜線上の登山道までせいぜい標高差30mほどなので、真っ直ぐ上を目指して薮を漕ぐ。細い笹なので、手こずることはない。
わずか10分ほどで、横津岳からの縦走路へ出た。周りは濃いガスに覆われて視界20mほど(14)。単独遡行の緊張感から解放され、ホットして、家に電話を入れて一休み。
何も見えない中の登山道を30分ほど登って、14回目、3年ぶりの頂上に到着。
頂上の山道楽さんの彫った頂上標識もちょと傾いてはいたが健在だった。右側に何も記されていない新しい立派な標識か案内板にでもなるような建造物が設置されていた。何が記されるのか、今度来るときの楽しみだ(15)。
昼食を摂り、登山道を下る。
頂上から下って、少し登り返した尾根から離れる地点に、これまた、何も記されていない細長い標柱が立っていた。これも頂上にあった物と一連の物であろう。これも何が記されるのであろうか?(16)。
5年前までは、yamaさんを中心とした我々がこの登山道の刈り払いしていたが、この山域が道立公園に組み込まれて以来、道森づくりセンターで整備をしている。我々のときより、倍くらいの幅で刈り払われている快適な登山道を黙々と下る。50分で第2登山口へ到着。さらに、林道を30分ほど歩き、車をデポしてある入渓地点に到着。
単独ではなるべく避けてきた冒険遡行だったが、予想以上の多くの滝が現れる楽しい沢だった。今度は、天気の良いときに仲間を誘って再訪してみたい沢となった。