蝦夷松山(667m) 陣川コース  00,9,17

天候の崩れの前をねらって、早朝の秋色漂う地元のまだ登っていなかった岩峰に立つ
 
登山地点下山
5:50
6:50
登山口
頂 上
7:55
7:10
[1:00]所要時間[0:40]

 この山は、部屋の窓からいつも見える地元の山であるが、昔は結構登られた山らしいが、どこから登山道がついているのかも分からず、高さ的にも特に登る対象の山とは見ていなかった。
早朝の陣川団地から蝦夷松山を望む
 しかし、この夏、地元のリンク仲間のどさんこのりさんからも「思ったよりいい山でした。」との話や、「一枚紀行」の墨絵を送ってくれる浅地氏からもその絵が届き、「新しい頂上標識があったよ。」とのことで、いつか登ろうと決めていた山である。

「きらめきの街」 浅地氏画

 昨日の午後からこの蝦夷松山に登ろうと思っていたら、一日中ガスで覆われていて諦める。今日は、天気予報が「くもりときどき雨」で、「これで、下手すると2ヶ月も山から遠ざかることになる。」と鼻から諦めていた。ところが、朝、5時に目が覚め、窓から外を見たら、蝦夷松山が見えている。空も明るく、雨も早朝のうちなら持ちそうである・・・ということで、慌てて用意して家を出る。

  登山口陣川団地の上(1)の石仏巡りルートの上から続いているらしい。ここの石仏巡りは、森林浴がてら北海道でただ一カ所、西国三十三観音巡りと四国八十八カ所巡りが同じところで続けてできる珍しいところである。本来であると、その入り口に車を置いて、のんびりと石仏巡りを楽しみながら登りたいところであるが、すでにここは2回も歩いているし、雨の心配もある。今回は、車で行けるところまで入ってみようと、そのまま車で入って行く。

  途中、林道が十字路になっているところで、続く石仏巡りルートの方には車両進入禁止の立て札があるが、はっきりとした轍の道が続いている。そのまま車を走らせて、石仏巡りの最後の霊場へ下りる分岐の上まで車で入ることができた。そこは、車が数台止められるように広く刈り払われていて、その右側へいかにも登山道といった感じのはっきりした踏み跡が続き、赤いテープが結ばれている。標識などは一切ない。途中から頂上岩峰を望む

 連日の雨ということもあり、好きな長靴スタイルでスタートする。朝からむっとして湿度も温度も高く、すぐに汗が噴き出る。おまけに下草がびしょ濡れで、掻き分けながらの登りですぐにズボンも濡れる。やがて、トドマツ林の中を進む。昨日のものと思われる新しい足跡やオフロードバイクのタイヤの跡も続いている。ところどころぬかるみがあり、長靴が功を奏する。

頂上の岩と標識
 10分ほど歩くと、沢の音が聞こえて来る。その沢へ一度下り、そこを越えて進む。林の中には、いろいろなキノコが目につくが、無知な自分には全部毒キノコに見える。トリカブト(2)やエゾノオヤマノリンドウやの花も秋の雰囲気を醸し出している。30分ほどすると林道跡と交差し、トドマツ林を抜け、ネマガリダケの笹藪へと入ってゆく。稜線に乗り、北の方向にルートは向きを変えるがが、すぐその上で踏み跡が分かれている。よく歩かれていると思われる右の方へ進む。踏み跡に覆い被さっている朝方までの雨に濡れた笹藪を掻き分けての歩行は、まさに水の中を泳いで歩いている感じで、全身びしょ濡れである。「水も滴るいい男」とつぶやいてみても誰もみているわけでもない。ふと、笹藪の隙間から上を見ると、市街の方からの眺めでは予想もつかない鋭く天を突く頂上岩峰が覗く(3)。
頂上から函館市街を望む
 やがて、笹藪から抜けて、その頂上岩峰の下へ到着。そこから10分ほどは、岩の周りに生える木の枝を頼りにしたワイルドな岩登りである。ロープも2カ所ほど取り付けられている。振り返ると函館の町並みが広がるが、高所恐怖症の自分には、尻がムズムズし、落ち着いて眺めることができない。ようやく大きな岩に「蝦夷松山」と書かれた新しい頂上標識(平成12年7月12日)がロープで縛り付けらている頂上へ到着(4)
頂上から雁皮山方向の稜線を望む
 まさに360度の展望である。函館の街並み(5)はもちろん津軽海峡を越えて下北半島も見える。山襞に朝霞を詰めた低い山並みを照らす雲間からの陽光の帯の下の眺めも美しい。東側はまさに雁皮平から屏風のように切り立つ崖で、その下に一面の笹藪の中に古い電柱が立っているのが異様な光景である。昔の鉱山へのものであろうか?また、入り組んだ林道が痛々しい眺めである。頂上の北側は雁皮山までの岩の細く荒々しい稜線が続いている(6)。その左側に横津岳の頂上の航空レーダードームが朝日に光り輝いている。
見たことのない不思議な実
 それらをカメラに収めて、ずぶぬれの上下を全部着替える。下は替えがないので雨具のズボンをそのまま履く。なんとズボンを伝って入った水が長靴の中に溜まり、靴下を絞って履き直す。腹ごしらえをしてゆったりとしたい気分であるが、羽根アリが煩くてそんな気分にもなれず、20分ほどで濡れた藪漕ぎに備えて雨具の上もを着て下山を開始する。
KGゴルフ場の上から頂上を望む
 下山途中未だかつて目にしたことのない真っ赤なモンキーバナナを10個ほどぶら下げたような奇妙な実?(7)を見つけ、カメラに収める。(帰宅してから、HYMLの質問メールを入れたら早速東京出張中のY@札幌さんからレスあり・・・腐生植物「ツチアケビ」とのことである。)

 下山して、すぐ下の陣川温泉へ行くが、10時からということで諦め、鋭い岩峰を真下から眺めたくて函館KGゴルフ場の方へ回る。運良くゴルフ場の管理道路のゲートが開いていて、頂上から見下ろした道を無断で走ってゆくと、その下に出る。まさに鋭い岩峰そのものの眺めである(8)。そこから登山道があると30分ほどで登られそうな近さである。探せばあるのかも知れない・・・と思いながら、帰路に就く。まだ、8時過ぎなのがうれしい。


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