渡島半島の東南端で太平洋に突き出すように位置する活火山恵山とその外輪山の最高峰海向山。
二重式火山で、外輪山は海向山や椴山などからなり、中央火口丘は外輪山の東縁に位置する。このピークが恵山頂上で、その西方に爆裂火口を開き、硫気孔から活発な噴気活動を続ける。 山名の由来は、アイヌ語の「エシャニノボリ(岬の上の山)、エサン(岬)、イエサンヌプリ(溶岩を吹き出している山)」などの諸説がある。 標高300〜350bの火口原一帯には低標高にもかかわらず、ガンコウラン、エゾイソツツジ、ミネズオウ、コケモモ、イワカガミのほかにも多様な高山植物が生育する。山肌を真っ赤に染めるエゾヤマツヅジ、道南でしか見られないサラサドウダンも有名である。これらの花々を楽しむには5月下旬から6月上旬がお勧め。さらに、山肌を覆うサラサドウダンを中心とした紅葉もみごとな山でもある。道内でもっとも遅い紅葉登山を楽しめる山でもある。 火口原の賽の河原駐車場まで自動車道で上がることもできる。そこから火口原や山頂や外輪山へ延びる遊歩道が整備されている。登山道はこのほかに、椴法華側からの椴法華コースと八幡川コースがある。2015年に長年閉鎖された恵山高原コースも整備されて、恵山側からも登れるようになった。 焼けただれた溶岩のオブジェの間を縫って登ると、足元から三方に青い海が広がり、津軽海峡を挟んだ下北半島が近い。 また、道内では数少ない信仰の山でもある。頂上には恵山大権現が祀られ、賽の河原には三十三観音の石仏群や、200年前に高田屋嘉兵衛が海上安全を祈願して建立したといわれる十一面観音像が今でも残る。 火口原を挟んで恵山と対峙するのが外輪山の最高峰海向山は、主峰の恵山とは対照的な穏やかな山容である。この山は全山サラサドウダンを主体とするツツジ類で覆われていて、初夏には釣鐘状の可憐な鈴なりの赤い花を咲かせ、秋には全山を真っ赤に燃やす。他では見られないみごとな紅葉景観だ。この山には賽の河原駐車場から周回コースがあり、恵山とセットで登るとタイプの違う山を楽しむことができる。 <山行記録の目次>※毎年の6月と10月の登山会は含まれていない <自分(左端)が実行委員長として実施した「岩崎元郎さんと登る「新日本百名山・恵山記念登山会」(05,9.28 99名参加)> |