大千軒岳 (1,071m)

[松前旧道コース〜松前新道コース]  99、6、13(日)

新緑のブナ林を抜け、強風のガスになぶられながらも健気に咲く花々に感動のグループ登山。

5:00 函館発
7:00 上ノ国・石崎経由
8:15 旧道登山口
登山(旧道コース)
 8:20
 9:45
10:05
10:35
松前旧道登山口
951ピーク下
中千軒肩(千軒平)
大千軒岳頂上
[2:15]所要時間
下山(新道コース)
11:35
12:25
大千軒岳頂上
松前新道登山口
[0:50]所要時間
12:45 途中まで林道歩き
14:00 松前温泉(入浴)
16:50 函館着
道南最大の花畑が広がる大千軒岳へ、そのピーク時の花を目的に、3つのコースのうち、まだ歩いていない松前旧道コースから登り、花の稜線を歩き、新道コースを下る計画を立て、これまで、私のHPの地元の愛読者の方々へメールで誘いを入れる。その結果、5名の全員初対面の「オフ会山行」が実現。
 951ピーク下で休むメンバー
  TTさん、Sさん夫妻が乗る私の車の後に、STさん(登山口まで同行する奥さんとそのお母さんが同乗)の車が続く。江差経由で、上ノ国町石崎から、延々50kmにも及ぶくねくね林道がほとんどの松前へ抜ける道々607号線(松前・石崎線、)へ入る。その最高地点に松前新道コースの登山口があり、その3km松前寄りに松前旧道コース登山口がある。

 以前より、標識も整備され、枝道でうろうろすることが少なくなったが、途中、二つに分かれ新道コース登山口のすぐ下で合流する道で、うっかりあまり使われていない方の道に入り、12kmほど、かなり酷い不安いっぱいの林道を進む。新道コース登山口でSTさんを同乗させ、戻る彼の車と別れ、1台で旧道コース登山口へ向かう。・
頂上と頂上への稜線を仰ぐ
 途中、登山口を間違ったりしたが、すぐに気付いて移動する。いよいよ新緑のブナの原生林の尾根取り付きにぽっかりと口を開けた登山道に入って行く。このコースは最近利用する人がいなくて、廃道状態になっていると聞いていたが、確かに道は枯れ葉で覆われているが、はっきりしているし、微かに手入れされている痕跡もある。

 私が先頭、年長のTTさん、Sさんの奥さん、Sさん、最後尾を一番若いSTさんの順で進む(1)。生まれて初めてのグループ登山のリーダー経験である。しかも、全員初対面である。いつも速いペースでの一人歩きばっかりだったので、どのくらいのペースがいいのか、後ろを気にしながらの歩きである。しかし、すぐにペースも掴むことができ、最初は急なブナ林の中をジグを切って快調に進む。
前千軒岳を望む
 まもなく、若いクマの物と思われる真新しい落とし物が道の真ん中に落ちている。ちょっと緊張してすかざず笛を拭いたりしたが、その後、次から次と登場するにつれてみんな慣れてしまい、緊張感も無くなる。旧道コースだけで10か所もあったろうか、知内川コースと合流する中千軒岳肩から帰りの新道コースでは、一つも目にすることはなかった。クマも人の通るところはやはり避けるらしい。見方を変えれば、それだけこの旧道コースは利用されていないということである。

  急なブナ林の尾根道を登り切ると、傾斜が緩み、最初のピーク844m地点を越える辺りからダケカンバの林に変わる。その樹間から、深く険しい谷を挟んで、新道コースの尾根から頂上へ続く稜線が覗いてくる。何度もこの山を訪れているが、初めてのコースだけに斬新なかつ雄大な眺めである。
ガスの中に咲き誇るシラネアオイの大群落
 やがて、1時間20分ほどで、左側にはこれから辿る頂上までの稜線、そして、新道コースの尾根の稜線が(2)右に、前千軒岳、正面に中千軒岳など全部見渡せる(3) 951ピークの下に到着。上空もだんだん雲が覆ってきたので、それらの大展望を眺めながら、初めてリュックを下ろしてゆっくり休憩する。

 一度コルを下り、中千軒岳への最後の登りにつく。その辺りから、フギレオオバキスミレ、ハクサンチドリやシラネアオイが顔を見せ始め、花の山の雰囲気が漂ってくるが、ガスが上空を覆い始め、あっという間に展望を奪ってしまう。谷底から吹き上げてくる風も強くなり、初め予定していた前千軒岳へのピストンは中止にし、稜線に広がる花だけを楽しみに進む。

 樹林限界を越え、中千軒岳の下を巻くように進むと、ハクサンフウロやハクサンイチゲなどが顔を出し、中千軒岳や前千軒岳方面への分岐を越えた辺りから花畑状態になる。とくにシラネアオイの大群落が物凄い強風に煽られながら咲いているそのみごとさ感心しながら進む(4)と、ガスの中に知内川コースとの合流地点・千軒平に立つこの山のシンボル・白い十字架が見えてくる。
ミヤマキンバイとミヤマアズマギク
 見渡す限り辺り一面に広がると真っ白のハクサンイチゲ、黄色のミヤマキンバイの群生、その中に紫色のミヤマアズマギク(5)、ミヤマオダマキなどが、下から吹上げる立っていられないほどの強風になぶられながらも今を盛りと健気に咲いている姿が痛々しい感さえする。 天候が良ければ、ゆっくり腰でも下ろして、それらの花々を楽しみ、写真でも撮りたいところであるが、ただひたすら風と戦いながら進むだけなのが残念である。しかし、面々、その美事な花畑の広がりに感動している様子がうれしい。これだけの規模の花畑は北海道の山でも珍しいくらいである。

 約30分ほど、風と戦いながらの花の稜線を越えると、千軒清水への分岐である。そこで水を汲み、このコース一番の急斜面である頂上直下の登りを越えると、頂上到着(6)である。ちょうど良い具合に頂上には人が切れて、風を避けることのできる別世界状態の深い窪地が空いている。そこへ陣取り、楽しい昼食である。

 一人歩きは自分の持参した食料だけでのあっさり食事であるが、グループ登山はそこが違う。びっくりしたのが年長のTTさん、リュックからみんなの分の冷えたビール、自分で焼いたという一人分ずつ袋に詰めたブラジルパン、自分の家の梅で作った梅干しが入っているおにぎりなど、次々と出てきては配られる。他の面々からもいろいろな食べ物が広げられる。私は、初めて持参してみた真空パックの函館名物のいかめしをお湯で暖めて食べてもらう。結構これは使えそうである。全員初対面だということも忘れて、山の話のほかに、インターネット上で付き合いということで、HP、PC、デジカメなどの話題にも花が咲き、あっというまに1時間が過ぎる。
頂上にて
 いよいよ下山である。さっきまで窪地の中で忘れていたガスと強風の中を、旧道とは違い、踏み馴らされた快適な新道コースを下る。展望がないだけに、花畑、樹林限界の灌木帯、ダケカンバ帯、そしてブナ林へと植物垂直分布の変化だけが楽しみな下山である。

 一度休憩しただけで、わずか50分ほどで、新道登山口に到着。そこから、車の置いてある標高差100mの下り 3kmの林道をブラブラ歩きで、旧道登山口を目指す。10分も歩いたであろうか、期待していた通り、山菜採りのご夫婦の車が下りてくる。手を上げて、私だけ旧道登山口まで乗せてもらい、みんなを迎えに戻る。

 あとは、長い長い25kmほどの林道を、途中不安になって追い越した車に「この道で大丈夫か」尋ねたりしながら走る。このために買い替えたような新しいわが相棒・ホンダCRVの持ち味をフルに発揮しながらの合計50kmもの林道走りである。以前のセダン車とはやはり違い、安心して走ることができるのがうれしい。

 ようやく、長い長い林道走りから解放され、松前温泉を目指す。STさんの車も無事到着している。汗を流し、2時間近くの会話が弾みながらの帰路に就く。

 その日のうちに、早速TTさんとSさんからデジカメ画像付きのメールが入る。HPをアップしている自分は(息子のお下がりはあるのだが)まだうまく接続ができないのが悔しい。

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