(川汲)台場山(491m)<函館市>
NTT管理道路〜川汲温泉コース縦走  単独  13,11、24
03,9,15のNTT管理道路ピストン
10,5,10の江戸・明治・大正時代の川汲山道(旧道)縦走

廃道と思っていた川汲温泉コースが刈り払いがされていて、復活していたので、思いがけず縦走が叶った

8:40 自宅発
登下山
地 点
 9:10
10:05
10:20
NTT管理道路入口ゲート
川汲峠
台場山
[1:10]所要時間
10:30
11:00
11:25
台場山
306ピーク
川汲温泉登山口
[0:55]所要時間
11:30

12:30 
川汲温泉登山口
(車道歩き)
NTT管理道路入口ゲート
[1:00]所要時間
[3:05]総所要時間
13:00 花園温泉(入浴)
14:00 帰宅
GPSトラックログ
函館近郊には「台場山」が3ヶ所ある。いずれも、箱館戦争時に榎本武揚率いる旧幕府軍の土方歳三隊長が、政府軍の侵攻に備えるために砲台を築いた山である。南茅部側からの侵攻に備えたこの「川汲峠の台場山」、森・大沼方面からの侵攻に備えた「峠下の台場山」と江差方面からの侵攻に備えた「二股口の台場山」である。

 ちなみに、この山に砲台が築かれたのは、明治2年である。それまでは、カックミ山、毛無山、木無山などと呼ばれていたようだ。

 小春日和の良い天気の下、まだ11月中は夏山モードで登りたい。そこで、昨日、二股岳下山後、二股口古戦場の台場山に寄ったこともあり、まだ雪のないであろう川汲の台場山を思いついた。3年前の春に、箱館戦争当時の古道の踏査研究家・も〜さんの案内で、江戸・明治・大正時代の川汲山道(旧道)を歩いて以来だ。さすが、太平洋側の影響の大きい山で、雪は全くなかった。

  今日は、NTT管理道路を往復しようと思って出掛けたしかし、頂上へ着いたら、『夏山ガイド』からも削除されて、廃道になっていたと思っていた川汲温泉前からの尾根道がきれいに刈り払いされていた。このコースは廃道になっていると思っていたことと温泉側の取り付き部分が分からなかったので、まだ歩いていなかった。これ幸いと、その登山道を下って、登山口である川汲温泉ホテル前からは、新川汲トンネルも潜ることになるが、函館南茅部線(道々83号線)を歩いて戻り、循環縦走することにした。

○まずは、NTT管理道路から台場山へ

 函館から函館南茅部線(道々83号線)を走ると、新川汲トンネルの1kmほど手前にNTT無線中継所の管理道路の入口ゲートがある(1↑)右手の紅白のポールの上に、距離標識が付いている。それによると、4.2km程ありそうだ。
 
 その手前に車を置いてスタート。ずっと舗装道路で、左側の法面が、コンクリートで覆われているのが登山にはそぐわない感じだ(2)しかし、小春日和の中、路面を埋め尽くす落ち葉の絨毯も、この時期ならではの風情がある。

 路面には、落ち葉だけでなく、オヤジの落とし物も・・・。観察すると、ブナの実と草の根が多いようだが、ほとんど消化されずに出ている(3)笛も鈴も持参していないので、大声を張り上げて通過。
 

 200mごとに距離標識が立っていて、登ってきた距離と残りの距離が分かるようになっている。50分ほどで、右手に無線中継所のアンテナが見えてきて、道路の先には川汲峠が近い(4)。 やがて、舗装道路は右へ別れ、その先で川汲峠へ到着。「←台場山砲台跡」の標識が立ち、そこから、左側へ折れるように林道が続いている(5,6)


 林道を進むと、目の前に目指す台場山が見えてくる(7)。林道から頂上への道の入口にも標識がある(8)これらの標識や登山道は、「函館サンモリッツくらぶ」が設置し、整備してくれているようだ。

 1時間10分で、頂上へ到着(9)。来るたびに思うのだが、狭い砲台跡で、まさに急ごしらえといったった感じだ。昨日の二股岳は周りの山も雪で覆われていたが、こちらは、太平洋の影響を受ける気候なので、さすがにまだ雪は見当たらない。南西方向に函館山と市街地が霞んで見えている(10)

西側にはいびつな形の三森山とその左奥に雪を抱いた袴腰岳が見える(11)

 昨日の二股岳は強烈な冷たい北西風に見舞われたが、今日は無風でポカポカと暖かい。雲泥の差だ。周りの展望を楽しみながら10分ほど休憩。

 戻ろうとすると、これまでには目に付かなかった反対側にきれいに笹刈りされた道が目に入ってくる。どうやら、これは、川汲温泉ホテルの前から続く尾根伝いの登山道のようだ(12)

 ホテル前の渡渉部分の取り付き部分が分からなかったことと、廃道化していると思っていて、まだ歩いたことのない道だったので、これはチャンス。そちらへ下りて、車道を歩いて、車のところまで戻ることにした。

○川汲温泉尾根コースを下る


 登山道にしては、昔からずいぶんと歩き込まれている旧道のような感じだった(13)歩いている内に、ふと、も〜さんの研究記録を思い出した。帰宅後調べたら、案の定、この道は、登山道となる前の江戸時代〜明治時代の川汲山道の間道として利用されていた旧道だったのである。

 も〜さんの調査研究によると、鷲ノ木に上陸した土方隊が川汲温泉(当時は鶴ノ湯温泉)から川汲峠へ侵攻する際、当時の川汲山道の本道とこの間道の二手に分かれて登っている。川汲山道の本道を登った本隊が川汲峠で待ち伏せていた政府軍に手こずっているところへ、この間道を登った迂回隊が現台場山(当時はカックミ山、毛無山、木無山などと呼ばれていた)を越えて上からの攻撃が功を奏して、政府軍を撃退させたとのこと。

 ※このコースの歴史的なことは下記のも〜さんの研究記録が詳しい。
http://dp04131457.lolipop.jp/oldroad/05-kakkumi.pdf

 あちこちにピンクテープが付いている。尾根には、大きなブナの木も生えている。30分ほど下って行ったら、コル越しに305ピークが見える。ここが標高差40m程の登り返し(14)

 このピークを越えると、小さなピークが3つほど続く。それを越えると、道は尾根の南側をトラバースするように続いている。尾根の末端近くまで下ると、川汲温泉ホテルが見えてくる。ゴールは近い(15)


 急斜面をジグを切りながら下っていく。深く掘れていて、いかにも旧道といった感じだ。やがて、川汲川にぶつかる。対岸にも刈り払われた踏み跡が見える。水量は足首くらいの深さで岩盤の上を流れている。スパイク長靴だったので、難なく渡ることができそうだ(16)。川岸まで下って行くと「史跡台場山登山口」の標識がある。これが、ここではなく、上の車道からの下り口にあれば分かりやすいのに・・・(17)車道へ上がったら、ホテル入口から100mくらい函館寄りの地点だった。頂上から55分だった。そこに標識がぜひ欲しいところだ。こちらから登るときには、車道のガードレールを越えて、上から刈り払われた道と渡渉地点を探すしかない。今度、初夏の花の頃にでもこちらからぜひ登ってみたい。

○道々83号線(函館南茅部線)を歩いて戻る
 

 あとは、車道を歩いて戻るしかない。2kmちょっとの新川汲トンネルもあるが、トータルで5kmほどのはず。1時間もあれば、戻れるだろうと歩き始めた。

 トンネルの中を歩くのはあまり気持ちの良いものではない。しかし、新しいので、く明るく、空気の循環も行き届いている。広々として歩道もあるので、圧迫感や息苦しさはない(18)。長さが2056mだが、ちょうど中間地点に、両方同じ距離表示があった(19)

 ホテルの前からは、このトンネルも含めて函館側の出口手前まで、標高差250mのずっと登りだった。同じコースを循環するなら、自転車をNTT管理道路入口に置いて、反対回りをすれば楽だ。次は、そうしようと思いながら歩いた。予想通り、1時間でスタート地点へ戻ることができた。


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