○シャクナゲ岳〜長沼〜神仙沼
 チセヌプリの頂上をスタートして、標高差250mを20分で、長沼と湯本温泉を繋ぐ登山道のチセヌプリ分岐へ出る。ここから長沼方向へ5分ほど戻るとシャクナゲ岳と白樺山への縦走路の分岐である。

 この分岐までの道を歩き始めて、ふと20年ほども前に家族で五色温泉のキャンプ場でキャンプし、そこからニセコ沼巡りをしてこの道を通り、湯本温泉まで歩いたことを思い出した。息子がまだ4年生で娘が1年生だったような気がする。亡妻も30代前半であった。こちらの趣味に付き合わせた形であったが、6時間以上の道のりを、靴を泥んこにしながら、みんな文句も言わずに良く歩いたものである。ちょっと感傷的な気分に浸りながら歩を進めた。

 分岐からシャクナゲ岳までは神仙沼駐車場から13年前に歩いているので、本来は白樺山まで繋ぎたいところであったが、そこまでの時間的余裕はない。シャクナゲ岳は3年前の冬にもチセヌプリスキー場から登っているが、シャクナゲ沼をもう一度見たいこともあり、シャクナゲ岳だけを再訪することにする。

 道端にタチキボウシが咲くように、ところどころは湿地状で、濡れて泥んこ状態のところも多いチシマザサの薮の中の道を20分ほど辿ると、白樺山との分岐に出る。その先を進むとシャクナゲ沼に出るのだが、分岐にリュックを置いて、カメラだけをウェストバックに入れてシャクナゲ岳を目指す。道端には前回も眼に付いたホツツジの花が咲いている(1)

 距離はわずか200mしかないが、標高差が80mほどあり、前回の記憶通り、ダケカンバ帯の急斜面を小さなジグを切りながらも大きな露岩ををよじ登る感じの道である。やがてハイマツが現れると頂上は近い。来し方を振り返ると、越えてきたチセヌプリとその前に登ったニトヌプリ、その後ろにアンヌプリと笠雲を被った羊蹄山が見えている(2)

 反対側には今回再訪し損ねた白樺山の向こうに目国内岳〜岩内岳〜雷電山が連なり(3)、北側の眼下には青いシャクナゲ沼が見え(4)その東奧には長沼や神仙沼も見えている。本日最後の頂上なので、もっとゆっくりしたいところであるが、車のデポ地点まであと2時間以上は掛かりそうなので、10分ほどで下山を開始する。

 分岐から5分ほど下るとシャクナゲ沼である。湖畔にはヒオウギアヤメやエゾカンゾウも咲いている。ちょうど逆光の先のコルの向こうに目国内岳が頂上を見せている(5)

 ここからは、いよいよ下山モードである。分岐まで戻り、長沼方面へ進む。長沼湖畔へは下り斜面となり、名前の通り南北に長い湖畔の南側へ出る。そこからは西岸を辿るが、ふと湖畔の見通しの良いところで、静かな湖面に、夕陽に輝く姿を映すチセヌプリをカメラに収める(6)。20分ほどで、長沼の北側の湖畔に到着する。そこには、若い男性が一人佇んで静かな雰囲気を楽しんでいた。


 
車のデポ地点への近道となる神仙沼へ向かう。夕暮れ迫る静かな湿原は、何度も訪れた中で最高の雰囲気である(7,8)沼から大谷地方面へ抜ける遊歩道を通り、ようやくニセコパノラマスカイラインへ出る。まだここから車のデポ地点まで2kmほどの舗装道路歩きが残っている。

 しかし、疲れもそれほどなく、快調に歩く姿が災いしてか、誘われても断るつもりであったが、一台の車も声を掛けてくれなかった。

 ニトヌプリへ登り始めてから5時間15分後のゴールである。その前に昆布岳を4時間以上歩いているので、合計10時間近い歩きである。これまでの山行で下山が18時を回ったのは日高の1839峰の19時以来である。

 明日の予定は尻別岳である。できれば途中で温泉に入って、留寿都の道の駅まで行こうと考えたが、ニセコ駅前に最近開業した町営の綺羅の湯に入って、近くのラーメン屋でビールと味噌ラーメンを食べ、温泉の駐車場での車中泊となる。



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