チロロ岳(1880m )[パンケヌーシ川曲り沢コース] 単独   96,7,14 
05,6,23の登山道整備
長い急な沢と雪渓の詰まった二つの沢を源頭まで詰め、タイプの違う二つの峰を楽しむ。

7 /13(土)
  12:00自宅発(函館)
  18:30日高キャンプ場
(テント泊
7 /14(日)
  3 :45キャンプ場発
登山地点下山
4 :30
6 :10
6 :55
 ↓
7 :05
7 :45
登山口
尾根乗越
源頭花畑
西 峰
西峰コル
頂 上
12:00
10:20
9:45
9:30
9:05
8:45
[ 3:15]所要時間[ 3:15]
13:00 沙流川温泉(入浴)
20:00 帰宅」
曲り沢の縁を行く
  訪れる人が少ない野生的な山らしいこと、チロロという響きのよさ、二つの沢を源頭まで遡るという珍しいコースの特徴などに魅かれ、早く登りたい山であったにもかかわらず、過去3回も登山口まで行って、悪天候のため引き返してきたという因縁の山である。
 
  天気予報が良いので、連休の午前中に用事を済ませ、迷わず日高町を目指す。前日、日高営林署に予約しておいた林道ゲートの鍵を借り、キャンプ場に野営し、朝を迎える。 登山口を目指して、日勝峠に掛かる手前のパンケヌーシ川の標識のあるところから、まだ薄暗い3度も無駄足を踏んだパンケヌーシ林道に入る。途中から日高の山にしては丸いどっしりとした頂上稜線が覗く。すでに釣り人の車は数台入っているが、登山口にはまだ車はない。
雪渓が詰まった二の沢
◎まず、二つの沢を源頭まで詰め、本峰へ
  快晴の空のもと、ウグイスの声に送られ、予定より30分早いこともあり、何の不安もなく、沢歩き用のフェルト付き地下足袋をリュックに詰めて出発。取水ダムまでの林道跡は15分程で終り、パンケヌーシ川・曲り沢の沢沿いの踏み跡に取り付く。 流れも急で、ほとんど小さな滝状態が続く荒れ沢である。何度も徒渉を繰り返し、濡れた岩が非常に滑りやすく怖かったが、地下足袋は下りに使おうと決めて強引に進む。沢の傾斜が増すに連れて、高巻き、へつりなどが連続し、足元も滑りやすく、ほとんど岩や周りの草や木の幹に掴まりながらの全身を使った野生的で変化に富んだ登行である(1)

  途中、大きな二股が二か所、いずれも右の沢に入る。上の二股からは、沢も細くなり、だんだん水流も少なくなり、やがて細い涸れ沢になる。それを真っ直ぐ詰め、ササのトンネルをくぐるように進むと乗越しの尾根に出る。大きなダケカンバの枝の間から頂上と西峰コルから続くすっきりとした稜線が覗く。
源頭部から朝日に輝く西峰を見上げる
  一休みして、二つ目の沢・パンケヌーシ川二の沢へ下る。結構な水量であるが、上を見上げると、びっしりと雪渓が広い沢を埋めて上まで繋がっている(2)。5分程でその雪渓の上を歩くことになる。30分以上も歩いたであろうか。こんなに長い雪渓は初めての経験である。最後の詰めは右側の小さな沢に入り、少し進むと、雪渓が消え、源頭を詰めると、表面に薄茶色の露岩が荒々しい西峰(3)を見上げるお花畑に出る。
源頭部の花畑
 まず、目に飛び込んできたのが、シナノキンパイ、ミヤマキンボウゲ、エゾノハクサンイチゲである(4)。 咲き乱れるそれらの花々や上の方に見えるエゾノツガザクラの群生などを楽しみながら花畑を斜行する踏み跡を辿ると、平坦な裸地になっている西峰コルに出る。ヒバリの賑やか噸りに迎えられ、爽やかな気分になる。ふと顔を上げると、表面にいつも南側から眺めていた1967峰の鋭峰を中心としたビバイロから幌尻までの北日高主稜線の山々が、ちょっと霞んで見える。反対の方には、昨年登ったペンケヌーシも見える。

  当初、先に西峰に寄ってから頂上を目指そうと計画していたが、その西峰への踏み跡がいくら探しても見えない。尾根の上を行けば良いのだからとハイマツの中に入っては見たものの、上の方は結構深そうなので諦める。花畑の斜面からなら登れそうなので、帰りにでも探してみようと思い、反対側のハイマツ帯の急斜面の中にはっきりとジグを切って続く頂上への道に取り付く。
ハイマツの花
  鋭い岩稜のニセピークを越え、右側が千呂露川の深い沢に急斜面となって落ち込む緩やかな稜線の上をのんびりと歩く。足元のコケモモ、ゴゼンタチバナ、ミヤマダイコンソウ、イソッツジや赤いハイマツの花(5)などを楽しみながら、両側に広がる展望やたまに振り返っては西峰を眺めながらの登行である。
頂上の様子
  やがて、3 時間15分で、もちろん誰もいない頂上へ到着する。昨年登ったペンケヌーシもそうであったが、途中一切標識もないだけに、立派な洒落た頂上標識が意外である。標識の向こうにペンケヌーシの頂上も望めるのがうれしい(6)。風もなく、暖かく、ゆったりとしたおおらかな気分で朝食を摂る。ただ一つの難点はハエが煩いことである。どうして、山の頂上はこんなにハエが煩いのであろうか。いつも不思議に思う。 無線機を取り出して、交信状況を聞いているうちに、乙部岳頂上付近から交信の呼び掛けがあり、こんなに遠くなのに道南と交信できることにびっくりして、初めてコールを送り交信に成功する。その後、阿寒富士頂上の人とも交信する。あとはのんびり寝転んだりしながら寛ぎ、1時間後に下山開始する。

つづく ◎西峰へ、そして下山

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