5:00 大函駐車場集合
5:15 ニセイチャロマップ
第一川出会い
登山 | 地 点 |
5:25
6:30
7:05
10:20
10:25 |
入渓(782)
940二股
1050二股
稜 線
頂 上 |
[5:00] | 所要時間 |
下山 | 地 点 |
11:20
12:40
14:05
15:15 |
頂 上
1200二股
940二股
入渓地点 |
[3:55] | 所要時間 |
16:00 層雲峡・黒岳の湯
(入浴・車中泊)
|
黒岳や赤岳に登るたびに層雲峡を挟んで見えるそのピラミダルな姿にいつも魅せられていた登山道のない山である(1)。また、ニセイカウなどの北大雪の山から見ても存在感のある独立峰的な大きな山である。
だんだん登りたい山と登れそうな山が限られてきた昨今、
HYML仲間のあまいものこさんの紹介文をじっくりと読んでみた。アプローチはニセイチャロマップ第一川(通称・九滝の沢)で、滝は多いが難しいところは高巻きができ、下りでも登攀用具が必要ないことが分かり、単独で挑戦するつもりで函館を出た。
○強力な助っ人登場
8/2のHYML懇親会(札幌)に出席した際に強力な助っ人が現れた。これまで何度か藪山に誘ってもらっている
『地図がガイドの山歩き』チームのsaijo隊長とチロロ3隊員である。わざわざ休みを取って同行してくれるとのことである。実は、saijo隊長は途中リタイアした15年前のリベンジの機会を狙っていたそうで、渡りに船といった感じらしい。そこで、たまたま同じ日に予定しているという網走山岳会のIさん(『知床半島の山と沢』の著者)とその仲間の存在も知ることとなる。Iさんとは、
昨秋の雄柏山でご一緒しているし、ときどき、my掲示板にも登場してくださる方である。
当日の朝、5時にニセイチャロマップ川沿いの林道ゲートのある大函駐車場で待ち合わせる。Iさんの連れのKuさんを含めて総勢5名である。2日前の石狩岳下山後、ゲートの鍵番号と林道状況は確認済みである。
5kmほど林道を走るとニセイチャロマップ第一川出会いで、そのすぐ先の橋の手前の広場に車を置いて準備をする(2)。
○次々と現れる滝を楽しみながら
単独のつもりだったので、全員初登頂の山ではあるが、これだけ経験豊富な仲間が一緒だと不安感はまったくなくなる。
出会いの上の砂防ダムを左から巻いて入渓すると、いきなり2段で15mほどの滝が現れる。ここには右岸にはっきりとした巻き道ができている(3)。それを越えるとすぐに、なぜか落ち口の上に堰が造られている10mほどの滝が現れるが、これも右岸から巻く。坦々とした渓相の中を5分ほど歩くと、
今度はゴルジュ状の10mほどの滝が現れる(4)。ここも右岸を高巻くが、結構ハードな巻きである。
さらに20分ほど穏やかなの流れを進むと、右岸に切り立った岩崖が続き、滝の現れそうな雰囲気となる。
案の定、15mほどの滝が現れるが、ここは右脇を登ることができる。しかし、帰りの下るとなるとちょっと不安であったが、登り切ったところに巻き道があったので安心する(5)。
これらの滝を楽しみながら越えてると、
だんだん河原が広くなってきて、正面に登りと下りで使い分ける沢地形に挟まれた尾根とその上に目指す屏風岳の頂上が見えてくる(6)。
いいペースで進み、予定より早い1時間強で940二股へ到着する。ここからは左股沢を進むことになるが、合流地点が倒木で埋まっていて、トップを行くsaijoさんが見逃したほどである。ここで、10分ほど休憩する。
ここから1040二股までは、流倒木のブッシュが物凄い。沢登りというよりは倒木越えの歩きである。しかも、ヌルヌルして滑るからヤバイ。ついに一度滑って沢の中に胡坐をかいた恰好で座ってしまう。
1040二股を右に入ると、様相が一変しだんだん沢が狭くなり、斜度が増してくる。1250m〜1400mの間は、
連続して次々と細い滝が現れて、飛沫を浴びながら直登したり(7)、脇を登ったりしながら、緊張の中にも楽しいときが過ぎる
。2ヶ所ほどは、滝を見ると燃えるチロロ3さんに負けじとsaijo隊長は直登するが、他の3名は、Iさんを先頭にあっさりと高巻きに突入する(8)。この高巻きは結構厳しく、体力を大いに消耗する。その間、直登した2人に休憩タイムを与えることになる。
○感激の頂上
やがて、滝もなくなり、だんだんガレ沢となって来る。
1600m付近で水流も消えてくると、両側の斜面一帯にチシマキンバイの咲き乱れる花畑となる(9)。渓流シューズの上からノンスリップ携帯靴を着けて、丈の低い笹が中心の薄い藪で覆われた沢地形をずっと辿って登っていくが、疲れもあり、頭上に見えている稜線になかなか到着しない。
稜線に出ると頂上は目前である。
ハイマツを掻き分けて5分ほどで、珍しく木枠で囲まれた二等三角点(点名・仁勢茶呂)の設置された頂上に到着(10)。ちょうど5時間であった。しかし、がっかりしたのは、最近あちこちで目にして不評を買っている峯風シリーズの頂上標識がその木枠に結び付けられていたことである。このような山には頂上標識などない方が絶対にうれしい。ましてや、ツアーでやってきては、あちこちの山に同じ個人の作成物を置いていくのは、公共の場である頂上を私物化している売名行為としか思えない。これ以上、あちこちに増やさないで欲しいものである。
気を取り直して、周りの眺望を楽しむ。残念ながら黒岳などの表大雪は雲で遮られてところどころしか見えないが、これまでそちらからこの山を眺めていた北大雪の山々が霞みながらもはっきりと見えるのがうれしい。
北西には、平山の向こうにニセイカウシュッペ山(11)、北東側には、支湧別岳やニセイチャロマップ岳、
東側には、武利岳と武華岳が、とくにはっきりと見えている(12)。眼下には層雲峡のホテル街や銀河の滝や流星の滝、大雪湖なども見えている。
全員初めての頂上である。下界は猛暑であるが、涼しい風を浴びながら、それぞれの思いで1時間ほどのんびり休み、
記念写真を撮って(13)、いよいよ下山開始である。
○藪から沢へ
下りルートは、1240二股で本流に合流する沢地形を下る予定であったが、saijoさんの提案で940二股までまっすぐ続いている藪尾根を下ることになる。しかし、その尾根もかなり下までハイマツが続き、あっさりと方針変更で、予定通りの沢を目掛けて急な藪を下ることになる。
藪漕ぎのスペシャリストのsaijoさんがトップになり、後ろ向きで急な藪を掻き分けてどんどん下る。滝登りでは大活躍するチロロ3さんの長い手足は、藪に絡まって辛そうである。saijoさんは15年前にこの急斜面を登って、途中でリタイアしたそうである。やはり、ここは、あまいものこさんが書いてある通り、下りがお勧めである。
やがて、予定通りの小沢に出て藪漕ぎから解放される。急なガレ沢ではあるが、一直線に本流に合流する1240二股が見下ろせる(14)。
頂上から1時間強で、1240二股に下り立つ。
本流の滝に打たれながら全身浴するIさんが楽しそうである(15)。たっぷり休んで940二股までの未知の下りを楽しむ。いきなり立て続けに7mと10mほどの2つの滝が現れるが、巻きの踏み跡があり、周りの木に掴まりながら下ることができる。その後も急な沢ではあるが、特に難しいところはない。
やがて、3段になって落ちる黒いナメ滝が現れるが、滑るので脇の潅木を利用して気をつけて下って、一休みである(16)。この後も2段の滝があるが、右岸を巻き、940二股に到着する。
あとは、来た沢を下るだけなので全く不安はない。楽しかった余韻と疲れから来る惰性に身を任せて下りを続け、3時間55分でゴールインである。
濡れた衣服を着替えてさっぱりする。着替えているときに、尾てい骨の付近が痛いことに気づく。多分、滑って沢の中に座り込んだときに岩にでもぶつけたのであろう。
集合場所であった大函で、まっすぐ帰ると言うIさんとKuさんと別れて、3人は層雲峡の黒岳の湯に向かう。札幌まで運転するチロロ3さんには申し訳なかったが、層雲峡で泊まる私とsaijoさんはビールを飲み、夕食を摂って別れる。
結果的には、単独でも登れたであろう山ではあったが、強力な助っ人のお陰で、心身ともに快適で、楽しい印象に残る山となった。