坊主山(790m)       99.8.15

「塞翁が馬」「怪我の功名」の林道入口から登山口までのアプローチ・・・・・・藪漕ぎ登山道から展望のピークへ
  石勝樹海ロード福山峠付近から望む坊主山
登山地点下山
6:30
7:15
登山口
頂 上
8:10
7:30
[0:45]所要時間[0:40]
 日高町から石勝樹海ロードを夕張方面へ向かって下りてくるときに、いつも穂別町の方に頂上付近に樹木が生えていない独立峰的な気になる山があった。その山に登山道があるのが分かったのが、つい最近、「夏山ガイド」(道南、夕張)の増補改訂版が出たときである。

  新冠富士の次の日、帰り道でもあるし、書店で林道入口の位置だけを確認しただけで計画に入れておいた。新冠を早朝発って林道入口のある穂別町へ向かう途中で、夜明け前の日高山脈がシルエットとなって、すっきり見えている。昨日がこのような天気だったなら・・・・と悔しい思いで、カムエクの辺りから顔を出す朝日を眺めながら国道 235号線を走る。

  穂別の市街地で、坊主山への林道の入口を尋ねると、「それは、富内(坊主山を挟んだ反対側の集落)の方ですよ。富内の中心街を抜け、福山へ通じる道を行くと、舗装が切れます。そこから少し行くと左側に看板が立っています。」とかなり具体的に自信を持って説明してくれる。「おかしいな、確かガイドブックでは、穂別町の市街地付近にその入口があったはず」と記憶しているのだが、地図を持っているわけでなく、自信もないので、その人の説明通りに、一端来た道を戻り富内という集落の方への道を進む。富内の市街地を抜けて暫く行くと舗装が切れ、やがて、「坊主山線」という新しい看板が立っている地点から、林道が続いている。
全然手入れがされたいない登山道
  ところが、その道は、新しい林道らしいのだが、全然利用されていないらしく、草茫々状態で、車で倒しながら、掻き分けながらという状態で、乗用車なら絶対止めたと思うが、RV車の強みを発揮して強引に入って行く。 4km地点で、それまでとまったく違い、草など全然生えていない立派な林道に繋がり、分岐の道を上の方へ上がって行くと「坊主山登山道入口」という標識があり、駐車スペースもある。その先には素晴らしい林道が穂別の町の方に向かって続いている。「穂別の市街地で聞いた人は、この道を知らなかったのだろう、帰りはこっちの道を下ってみよう」と決めて、朝食を摂って、身支度をする。

  登山道を覗くと、全然手入れがされていないらしく、朝露対策に長靴履きで雨具のズボンだけを着けて出発する。その登山道は作業道跡らしいのだが、藪漕ぎ状態でだんだん酷い状態になってくる。しかし、轍に登山靴の跡も結構ある。登山口から100mくらい入った地点に「頂上まで 2200m」の標識が立っている。大した距離でもないし、下はしっかりしているので、草や笹を掻き分けながらどんどん登って行く。岩場の下を通り、見た目にはまったく一面笹原と区別のつかないような中を泳ぐような状態で進まなくてはならないとところがほとんどである(2)。
避難小屋とフジバカマを掻き分けて進む道を振り返る。
   「昨日のあの4時間半もの厳しい日高の稜線をずっと刈り払いをしていた道とは、えらい違いだ。『夏山ガイド』に掲載されたのだから、この位の道のり、刈り払いできないのだろうか?」と腹を立てながら歩いて行く。 緩やかな稜線へ出ると、一面の笹原の向こうに突き出たような頂上が見える。左手には夕張岳が青空の下にすっきりとその姿を誇らしげに聳えている。やがて、その笹原の向こうに、およそ、このような登山道には似つかわしくない立派な避難小屋らしき建物が見えて、びっくりする。

  「頂上まで500m」という標識で、道は右に折れ、新しい小屋の前を通って頂上稜線へ向かう。ここまでの作業道は、この小屋を建てるときのもので、それ以降、手入れもしていないのでないのだろうか。避難小屋からの頂上稜線のまでの道も一面の笹原の中にフジバカマの花の筋があるから分かるようなもので、今度は、フジバカマを掻き分けながらの歩きである(3)。
頂上の様子
  笹原に中に突き出した感じの頂上への稜線に乗ると、笹も低くなり、花畑状態となる。登山口から45分で、標識の立つ頂上へ到着(4)。心地好い風が吹いて、独立峰のような存在だけに 360度の展望がすばらしい。日高山脈がこれまで見たことのない角度から兄眺められるのが非常に斬新である。夕張岳は見えるのに(5)、芦別岳が見えないのはなぜだろうと探すと、ちょうどその陰になっているらしく、芦別岳の頂上らしい鋭峰だけが夕張岳の頂上の横にちょこんと覗いている。いつも、下から上げていた石勝樹海ロードの曲がりくねった道も見えている。「坊主山」の名前に相応しい眼下の一面の笹原の緑とその下の方のダケカンバの白とのコントラストも涼しげな広がりである(5)。
夕張岳
   10分も立ってそれらの展望を眺めていると、朝露で濡れた雨具のズボンも乾いてします。寝転んでもっとのんびりしたい雰囲気もあるが、函館までの運転時間の長さも気になり、下りることにする。

   登山口から、車で穂別の町の方へ向かう立派な林道を 5kmほど下って行くと、なんと、がっちりした林道ゲートが設置されていて、頑丈な鍵がかけられている。ガーン!・・・・・『夏山ガイド』に載っている林道はこれに違いないのだろうが、今日は営林署が休みの日曜日である。きちんと地図通りに、この林道を入ってきていたら、そこで、あえなく撤退せざる得ず、「坊主山」へは登ることができなかったわけである。物凄い遠回りを強いられて、あの草茫々の林道を入って、この林道に出たときは、朝、道を尋ねた人をちょっとばかり恨んでもみたが、見事、感謝の気持ちに変わってしまった。まさに、「塞翁が馬」「怪我の功名」とはこのことである。
頂上から下の笹原を見下ろす
   Uターンして、来た林道を戻る。途中、分岐があり、いい道が別な方に下っているが、そこを下っていっても、またゲートがあるかもしれない。素直に、もと来た草茫々の林道を下る。

  この後、この山へ登る方は、前もって営林署から鍵を借りて、穂別の市街地側から入るか、それができなければ私の通った林道を車で草を掻き分けながら進むようにしましょう。それにしても、あの登山道の刈り払いだけはぜひしてもらいたいものである。


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