[27] 旭岳(2290m) 〜中岳温泉裾合平 [姿見の池〜裾合平コース] 93,9,27
天候 雨(2000m 以上はみぞれ)
ガスと横殴りのみぞれの稜線歩きのあとには、錦織の草紅葉の絨毯が待っていた。
樹海の登攀(浅地氏画)
7:00 起床
8:20 ローウエイ旭岳駅
8:45 姿見駅
 9:00
10:05
11:05
11:30
11:50
12:15
13:10
姿見の駅
旭岳頂上
間宮岳頂上
中岳温泉
 (入浴)
  〃  発
裾合平分岐
姿見駅
[4:10]総所要時間
13:30 ローウエイ旭岳駅
14:15 天人峡
    (羽衣の滝、敷島の
      滝、温泉入浴)
15:30 〃 発
17:50 留萌着

2000年情報
 掛け替え工事のため、2年ほど休業中だったロープウエイが、6月25日に開通したそうです。


 前日、愛山渓から愛別岳を目指し、天候には勝てず、ガスの比布岳から戻り、旭岳温泉の駐車場で夜を明かす。朝起きても、目指す北海道最高峰は一面のガスに覆われ、姿は見えず。迷っていると駐車場で同じく車中泊していた人々やホ テル泊の人々がロープウエイ駅へ向かう。 雨と濃霧の中に初めから突っ込んでいく登山は始めてだが、行けるところまで行ってみようと急いで一便 遅れで出発。

 ロープウエイから見下ろす紅葉も素晴らしい。乗客 の歓声も凄い。姿見駅を出るとやはり濃霧の中、やが て上下雨具を着け雨の中をまず姿見の池へ。 視界 20mぐらいではあるが、風もないし、とりあえず旭岳でもと思い、登山道を探してとりつく。

◎濃霧の中の旭岳へ
 まったく展望のない中を、火山礫と火山灰だけの地獄谷の縁の尾根道を 直登あるいはジグを切りながら進む。 目に入るものは目の前の道だけ。それでも、地獄谷から上がる噴煙の硫黄の匂い、前を登っているであろう人の新しい足跡、時折目に着く黄色いペンキの標識がうれしい。

 高度を上げるに連れ、岩もだんだん大きくなり、風上の地獄谷側の稜線に雪が着いてくる。やがて、その雪が一面になり、尾根も狭くなり、傾斜を増し、大岩が頭上に迫ってくるころ、別に急いでいるわけでもないのに、前のロープウエイで来た人全部を抜き先頭に立つ。雪の上にかなり早朝に登ったと思われる人の足跡だけが点々と続く、やがて、ニセ金庫岩らしき岩が見え、左にカーブすると金庫岩が見えてくる。北海道最高峰はもう直ぐ。ガスと雪の旭岳頂上で

 頂上はガスに覆われたままで、のっぺりした感じで、雪と氷がへばり付いた標識のみが侘しそうに立っているだけである(1)。本来ならば、360 度の大展望を楽しめるのであろうが・・・。今から19年前の夏もやはりガスの中であった。この北海道最高峰からの展望を目にするのはいつのことになるのだろうか。

◎旭岳から間宮岳、そして中岳温泉へ新雪とホワイトアウトの裏旭斜面
 さて、どうするか?このまま下りるには早すぎるしと迷っているところへ夫婦連れが到着。同じコースの予定だったらしいが止めるという。しかし、「道はしっかりしていますよ。」という言葉に、時間が十分あることもあり、予定通り進むことに決める。濃霧の中に続く道だけを頼りに出発。裏旭のコルへ降りる斜面は火山灰と新雪なのか残雪なのかよく分からない雪渓の急斜面(2)を滑るように真っ直ぐ下る。コルは少しガスが晴れ、やや展望が利くも山肌のみ。どこを歩いているのか全然分からないが、地図上では、熊が岳への斜面を登り、間宮岳への道を進んでいるらしい。

  みぞれ混じりの濃霧の中、この広い大雪山中の誰とも出会うことのない一人歩きであるが、不思議に不安感はなく、むしろ快い孤独感と充実感に浸りなが天然露天風呂・中岳温泉ら、いっぱしの登山者になったような気分である。 ひと月半前に歩いた間宮分岐から中岳分岐までは完全に横殴りのみぞれである。中岳分岐から小さな紅葉のお花畑の中を下る。途中コケモモを採って口にする。爽やかな甘さと酸っぱさが口のなかに広がり、疲れがしゃきっとする。

 左手に険しい城壁のような崖と谷がボーッと見えて来る。そこが、中岳温泉のある渓谷の源頭であった。渓谷へ下りる道から沢のほとりに掘られた湯溜まりだけの純粋の天然露天風呂・中岳温泉を見下ろす。二人が入浴している。海水パンツを履いたその若者たち(3)は、秘湯巡りをしているとかで、ついつられて話の種にと思い入ることにする。誰もいなかったら多分通り過ぎていたことであろう。雨が降ってなくて、展望が利いたらどんなにかいいだろうと思いがら、10分程で上がる。
裾合平の見事な草紅葉
◎中岳温泉から裾合平、そして姿見駅
  渓谷を振り返りながら下ると、目の前に裾合平が広がり、思わず息を飲む。夏なら広大なお花畑であろう。今はまさに、一面錦織りの絨毯である(4)。上空はガスっているが、下の展望は利く。時折ガス間から姿を見せる大塚、小塚の奇怪な頂上と山裾の紅葉を楽しみながら進むうちに裾合平分岐に出る。

 分岐から姿見駅までの道は、ハイマツと大きな奇岩に囲まれ何本もの沢越えをするアップダウンの繰り返しである。いよいよ終りに近づくという思いと展望を楽しむことはできなかったが十分な満足感に浸りながら進む。 ずぶ濡れの合羽のまま出発間際のロープウエイに飛び込み、紅葉を見下ろしながら旭岳温泉駅へ。

その後、時間があったので天人峡に回り、羽衣の滝と敷島の滝を見て、温泉に入って汗を流し、一路、出張先の留萌へ・・・・・。


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