12日間のアルプスの山旅を振り返って 

 退職後の夢だった海外トレッキング・・・3月にヒマラヤを垣間見る「ランタン谷トレッキング」、そして、3ヶ月後の今回の「アルプスハイキング」・・・贅沢至極の大満足である。
 この二つの山旅を比べるとそれぞれ両極端の魅力がある。トレッキングに入ったらまったく交通機関を使うことのない、毎日がテント泊の連続で、静かなで原始性豊かなスケールの大きさなどが魅力のヒマラヤに対して、アルプスは、交通機関を最大限生かして、4000m近くまで登れることや、短期間であちこちの山群を回ることができ、毎日が山岳リゾートの快適なホテル泊まり、したがって、観光客も混在の賑やかな山である。全体的な印象として「田舎の山」と「都会の山」と言ったら変な例えであろうか?

 さて、今回の山旅を振り返っての印象を思いつくまま羅列してみよう。

○どこを撮っても絵になる景色
 白い峰々と緑のコントラストの間に覗く垂直に近く切り立つ岩肌、鋭く尖った岩峰、深い谷・・・山裾に点在する自然の中にとけ込んだ家々、花で飾られた家並み・・・。まさに、子供の頃から抱いていた、「アルプスの少女ハイジ」の絵で見た世界そのものであった。

○岩と雪と氷河以外はすべて花畑・・・?
 森林限界を越えた上の岩と雪と氷河以外の緑の部分のほとんどは放牧地とスキー場で、自然がそのまま残っているせいであろうか、とにかく見渡す限り一面の花・花・花・花・・・。そして、その種類の豊富さにも驚いた。撮った花の写真の枚数だけでも100枚は越えた。全部撮っていたら200枚は越えたであろう。整理して、色別に分けて80種類の花のページを作った

○氷河が標高1500mほどまで残っているのにもビックリ! 
 ヒマラヤの氷河は緯度が低いせいもあろうが、4000mを越えた辺りが末端であったが、アルプスは生活圏の直ぐ上まで迫っている。お陰で氷河を直ぐそばや上から眺めたり、氷河に作られた洞窟に入ったりして氷河そのものにじっくり触れることができた。

○高いところまでいかにして人を運ぶかという執念を見せつけられる。

列車、登山電車、ロープウェイ等の切符

 山岳リゾートの発達、それらを結ぶ鉄道網、登山電車、ロープウェイ、ゴンドラ、リフト・・・・。特にその建設技術に驚く。とくにエギーユ・ディ・ミデやクラインマッターホルンなどの鋭く尖った岩峰の上までロープウェイを掛けて、展望台を作ってしまうのには執念以外のなにものでないような気がする。おかげで、簡単に4000m級の万年雪に覆われた山を楽しむことができるのである。

○のんびり楽しむハイカーが多い
 総延長が地球1周より長い5万kmものハイキングロードが整備されていて、その道もよく利用されている。我々が寒がって着込んでいるのに、短パン半袖姿でゆっくりとウォーキング感覚でハイキングを楽しんでいる外国人の姿や、途中の山小屋のテラスでのんびりくつろぐ姿が印象的であった。それも夫婦連れ、家族連れ、友人同士・・・・それに比して、どこでも眼に付くツアー中心で歩いている日本人の姿は彼等にどのように写っているのであろうか? しかし、ハイキングロードを利用しないで高所までロープウェイ等で登って、ピークを目指すプラブーツにピッケル等を身につけたアルピニストの姿も多く眼に付いた。

○物価は高いがビールは安い
 スイスもフランスも物価は日本よりやや高めな感じがした。また、山岳リゾートばかり歩いたので、レストランは高いところばかりで、日常的な食事の感覚で気軽に入れない店が多かった。しかし、ビールは安かった。日本のように税金も高くなく、価格統制がないせいか、COOPで買うと500mlの缶ビールが100円未満のものもあり、ハイネケンでさえ200円はしなかった。
また、果物も比較的安いような気がした。中でもトマトが安くて非常に美味しかったので、よく買って食べた。

○どこへ行っても日本人ばっかり
 高所まで発達した交通機関のお陰で、アルプス全体が観光地となっているせいか、とにかく日本人観光客が多い。今回3日ずつ滞在したグリンデルワルド、ツェルマット、シャモニなどは、日本国内にある「アルプス村」ではないかと錯覚するくらいである。それも、ほとんどが60歳以上のツアー客・・・・自分もその一人であるが・・・・。ハワイもそうであると聞くが、予想を遙かに超えていた。その割りに日本語が通ぜず優遇されていない気がする・・・ということは日本人もそれほど優遇されていないのでは?

○アルプスが舞台だからこそピッタリののんびりツアー
 普段、単独で、登山道や沢や藪漕ぎ、山スキー等で汗を流して黙々とピークを目指す癖の付いている自分にとっては、ツアーリーダーに「こんなゆっくりペースでストレス溜まりませんか?」と気遣われたりもしたが、今回ののんびりモードのツアーは、まさにアルプスが舞台だったからストレスも溜まらず、同化できたものと思われる。「一番後ろを歩いてフォローをお願いします」と依頼されたのをいいことに、景色を楽しんだり、花の写真を撮ったりと、一度も汗をかくことがないペースを楽しむことができた。

 
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