○赤岩山経由でオタモイ海岸へ

 フェルさんと別れて、赤岩峠まで戻り、探勝路を辿って赤岩山へ向かう。生憎、このころから海霧に覆われてしまって展望がなくなる。しかも、樹林帯の中の道で、下赤岩山方面とは全く違う様相である。赤岩山の北側に椅子が設置された展望台からは、見えるはずのオタモイ海岸や積丹方面の展望は、海霧の雲海で覆われて見えない(1)

 地図上では、展望台から直接赤岩山山頂へ繋がる道が記載されているが、その分岐を探して行ったり戻ったりする。しかし、それらしいいところは見当たらなかった。先へ進むともう1本の道の分岐へぶつかる。そこからアンテナ群の林立する山頂へ向かう。どこが山頂か判らないような状態で、あるはずの二等三角点を探し回ったが、見つけることができずに退散。帰宅後、「地図がガイドの山歩き」の記録を見たら、赤いアンテナのすぐ北側の藪の中だったらしい。

 相変わらず展望のない林の中を進み、352ポコを越えて下っていくと、山中海岸への下り口へ出る。帰りに海岸線を戻るつもりなので、そのまま進むと真っ赤な出羽三山神社に出る(2)

 さらに下っていくと、オタモイ唐門が立っている(3)これは、戦前、竜宮閣や弁天閣などが建ち、道内屈指の観光地であったオタモイ海岸への入り口として、昭和7年に建立されたものを、道路拡幅により昭和53年に現在地に移設保存したらしい。現在も、秘境オタモイの象徴として広く親しまれているらしい。

 そこからつづら折りの舗装道路を下っていくと、広いグランドのような駐車場へ出る。ここが昔の一大歓楽地のオタモイ遊園地があったところだ。昔の様子が写真付きで記された説明板を読み、そこから続く断崖絶壁の上に素堀りのトンネルで繋がる昔の遊歩道を辿る。途中にこのオタモイ遊園地の象徴であった竜宮閣の土台部分が残っている(4)。遊歩道の終点がオタモイ地蔵であった(5)ここも、オタモイ遊園地として栄えた時代には、信仰をかねて大変な賑わいであったらしい。赤岩峠からここまでで1時間45分であった。腹ごしらえがてら休憩をして、断崖絶壁の上の道を戻る。

○海岸線を辿って赤岩峠へ

 当初は、オタモイ市街地まで戻り、バスを繋いで赤岩峠へ戻るつもりであったが、フェルさんの勧めで、赤岩山の断崖絶壁や岩峰を下から眺めながら歩ける海岸線を戻ることにした。遊園地跡の駐車場まで戻り、その奥の踏み跡から海岸へ下りる。あとは、ずっと岩の上を伝い歩く。しかし、海霧が立ちこめ、水平線も見えず、上の岩壁も見えない状態なのが悔しい(6)

 途中に湧水が数ヶ所があって助かる。標識類は一切無いが、特に危険なところもなく、1時間20分ほどで、赤岩峠への登り口へ到着。海岸へ下りる人やクライマー達がよく利用する道らしく、途中に崖崩れ箇所はあるが、はっきりとした道である。そこを登り詰めると、朝、ここを発って6時間半ほどでゴールイン。

 当初の予定では、この後、余市の西崎山ストンサークルから、夏至の夕日がシリパ岬へ沈むのを見る予定であったが、立ちこめた厚い海霧のために敢えなく断念。忍路と西崎山のストンサークルを見学しただけで、余地川温泉を目指す。

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