(赤岳〜小泉岳〜白雲岳から続く)

◎お鉢平巡り(北海岳〜中岳〜北鎮岳〜黒岳石室〜北海岳)北海平に咲くエゾタカネツメクサ
 エゾノタカネツメクサ(写真1)やヨツバシオガマなどが咲き乱れる北海平を進んで、北海岳に到着。北海岳からは、大爆裂火口のお鉢平全体が見渡せ、ちょうど真向いに北鎮岳が望まれる。トムラウシへ縦走するという女子大の山岳部の人たちが楽しそうに休んでいた。初めの計画では、ここから戻って、明日、黒岳からこのお鉢平を一周する予定であったが、まだ9時半である。時間が十分ある。これまで急な登りもなく疲れもほとんどない。時間的にも十分回ってきても間に合いそうである。また、近づいている台風の影響も気になるところである。今日中に、このまま一気に回ってしまうことに計画変更して、時計回りで出発。松田岳、荒井岳、間宮岳、中岳といった 2100m以上のピークを越えるのだが、標識がなければどこが頂上か分からないような尾根上のなだらかな起伏の道である。まだ雪を残した「有毒ガス発生に付き、下りないで下さい」といわれるお鉢の向こうに桂月岳や黒岳、その向こうにニセカウなどの北大雪の山々が望まれる。(写真2)
お鉢越しに望む桂月岳と黒岳(奥)
 お鉢を回り始めて1時間半後、旭岳に続く第2の高峰である北鎮岳の分岐に到着。ザックをそこにおいて大小様々な火山礫に覆われた急斜面を踏み締めながら頂上を目指す。わずか10分後頂上到着。頂上にはベンチがしつらえられ、心行くまで展望を堪能できるようになっている。旭岳の手前の熊ケ岳、直ぐ北側に続く鋸岳、愛別岳、永山岳の荒々しい山容(写真3)、北大雪の山々などの展望がうれしい。当麻岳の裾に広がる沼の平などもいつかは訪れてみたいところである。
北鎮岳頂上と比布岳と愛別岳(右の尖峰)
 北鎮岳を下りて、途中の雪渓や広々とした雲ノ平のモザイク状の植生と花々を楽しみながら黒岳石室を目指す。このあたりになると黒岳から散策に来る人々が多くなる。 やがて石室到着。前で「雪渓ビール」なるものを売っている。思わず買ってしまい、そこから少し離れた北海岳に向かう道端(写真4)で昼食ついでに飲み干す。おいいしいことはこの上ないが、北海岳までの登りが気がかり。20分程で出発、案の定、心臓は直ぐバクバク息が直ぐ切れる。失敗したと思いながらも、休み休み登る。今度からはやっぱり下山するまでは絶対よそうと決心。

◎北海岳下〜銀泉台〜帰路
 途中で、北海岳頂上まで行かなくても北海平の道に続く雪渓上のルートを発見、30分程短縮。後はひたすら赤岳経由で、もと来た道を銀泉台まで下る。途中の雪渓下の水が旨い。
黒岳石室付近から北海岳を望む
 所要時間9時間40分、これまでの最長時間。ガイドブックによると、普通は1泊2日のコースで、自分も当初は2日間の予定だったが、思いがけず一日で歩けてしまえたのがうれしい。ただ、黒岳の頂上を踏みのこして残してきたのが、少し気がかりである。しかし、この山は、家族四人で「1984年に1984mの山に登ろう」と道南旅行の際に登っているので、まあよしとする。今回は、時間は長かったが、急な斜面が無かったせいか、それ程足に疲れはない。 天候は相変わらず快晴のまま、台風の動きが気になるが明日はニペソツ、明後日はトムラウシと考えながら下山し、層雲峽へ車で移動。

 銭湯の温泉・不老の湯に入り、温泉街の食堂でビールをのみ、夕食をとって、駐車場のトイレ脇で車中泊。夜中目が覚めると、いつの間にか、空は真っ黒、風が車を揺らすほど強くなっている。台風には勝つことはできない。あと日程的に2日あるのだが、どうも2日とも無理のようである。あっさり諦めて、 次の日、十勝経由で夕方までかけてのんびり帰宅することにする。途中立ち寄った東大雪博物館ではニペソツやトムラウシへの挑戦意欲を掻き立てられる。今度の楽しみにとっておくことにし、十勝路を後にする。途中、清水で食べた手打ち蕎麦がおいしかった。

(赤岳〜小泉岳〜白雲岳へ戻る)


「北海道百名山紀行」へ   次へ「旭岳」   HOMEへ

inserted by FC2 system