1839峰(いっぱさんきゅうほう)
(1842m)[コイカクシュサツナイ川コース]
99,7,26〜27
4年越しの念願の北海道で一番遠い山、往復20時間の格闘の末、「北海道百名山一人歩き完登ゴール」を果たす。
 
登山地点下山
7/26
7:15
9:05
9:30
11:15
13:00
[5:45]

登山口(コイカク沢出合)
上二俣

1305テン場
コイカク夏尾根頭(1719m)
(所要時間)

19:30
17:15
16:50
15:30
14:30
[4:45]
7/27
4:35
4:50
5:15
5:35
6:40
7:20
8:30
9:20
[4:45]

コイカク夏尾根頭(1719m)
コイカクシュサツナイ岳
1560最低コル
ヤオロの窓
ヤオロマップ岳(1794m)
1781ピ−ク
前山
1839峰(1842m)
(所要時間)

14:15
14:05
13:20
13:00
12:00
11:30
10:15
9:45
[4:30]
[10:30]総所要時間[9:15]
 99,7,27 9:20 念願のピーク・北海道岳人憧れの日高山脈の支稜線の孤高の鋭峰・1839峰頂上に立つ。もちろん、自分以外誰もいない頂上である。リーチ状態で1年間待たされた「北海道百名山一人歩き完登ゴール」の瞬間でもある。赤い布切れが巻かれた三角点標石に手をついて「来たぞ!」と呟く・・・・。濃いガスで展望がないのが唯一残念ではあるが・・・・。
1839峰
  距離的にも北海道で登山口からもっとも遠い山ではあることに間違いないが、私にとってはそれ以上に遠い山であった。函館から移動日も含めて最低4日は必要な山である。したがって、夏季休暇を利用できる年1回のチャンスしかない山である。

  96年の初挑戦は、豪雨の次の日に増水した沢に入って行くが上の函の手前で徒渉不可能になり敢え無く撤退。97年は、コイカクシュサツナイ岳まで上がって、テント泊したが、次の日雨で撤退(帰りの沢の増水が怖い)。98年、「北海道百名山一人歩き完登ゴール」を目指しての挑戦であったが、登山口で2日間天候待ちを強いられ時間切れ・・・・。そして、4回目、「今年こそは何としても」と不転退の気持ちで臨んだのである。

  2日間、ヤオロマップから戻るころにはすっかりガスも晴れたが、誰とも会うことのない、それまでは濃いガスと強風の日高山脈と一人で戦っているような不安感と孤独感との闘争心に支えられた山行であり、ハイマツなどの濃い藪と岩、数限りないような登り返し、両側から垂直状態で切れ上がった細い稜線などとのまさに格闘状態の登行には、地図と高度計と、昨夏やはり一人で登ったという登別のT氏(昨秋羊蹄山避難小屋で隣になって以来お付き合いをいただいている)から送られた詳しい行程記録と助言、夕方と朝の無線でのサポートが最大の心強い支援であった。

 ○1日目、コイカクシュサツナイ夏尾根頭を目指す。コイカクシュナイ沢を溯る
   7月25日に、登山口の手前の中札内村のぴょうたんの滝キャンプ場を目指して、500km の道を直走り、そこで夜を明かす。 朝、目指す山の方は黒いガスで覆われたままであるが、これからの3日間は雨の心配は無く、平地は晴れるらしいという予報を頼りにコイカクシュサツナイ沢出合にある登山口に到着。

  登山口にも札内ヒュッテにも車は無く、進む方向は黒いガスに覆われたままで少し迷うが、明日の天候回復を念じて、縦走沢登り装備に身を固め、土日の雨のせいでやや増水気味の広いコイカクシュサツナイ沢に入って行く(2)。木の枝に時折ぶら下がっている赤いテープと踏み跡を探しながら、合計20回以上にもなる膝前後の徒渉は登山ストックでバランスをとり、上の砂防ダムは右側の巻き道を、一つ目の函は左側の高巻きを、二つ目の函は、やや不気味ではあるが中に入っていき、右側の岸の岩の根元を伝い歩き、快調に進む。2年前には、沢の表面に見えたコイカク夏尾根頭とそこへ続く急な夏尾根が見えたが、今回は黒い雨雲状態のガスに覆われたままである。
コイカク頂上と足元の深い谷
 予定より、10分早い1時間50分で上二俣に到着。登山靴に取換え、4Lの水を汲み、休憩して、いよいよこれもここ以外には無いと思われる地図上で 2000mの距離で標高 1000mを登るという平均斜度45度というとんでもない急な細い尾根道に取り付く。ストックを短くし、4つん這い状態で。一度登ってはいるが、高度計の針の動きだけが楽しみな辛い登りである。20分で高度100mのぺースを励みに高度を稼いで行く。
  
 1305テン場でゆっくり休憩し、そのあとの岩稜登り状態となるもっと凄い急な登りに備える。ここからは周りの木も低くなり、右側が垂直に切れ落ちる痩せ尾根である。風が逆に吹かれたらとんでもないことになるが、幸い反対側からであるのが少しは恐怖が和らぐ。1500付近で一瞬ガスが晴れ、コイカクシュサツナイ岳と深い谷(3)と頭上に夏尾根頭が覗くも、また闇の中。

 13:00、登山口から5時間45分で、明日の登頂のベースキャンプ(ちょっと大袈裟?)となるコイカク夏尾根頭に到着。天候が良いと快適な花畑の広がる高原状の所であるが、そんな余裕を感じさせないほどの強風と視界10mの濃いガスである。少しでもこの強風を躱すところを探してテントを張る。飛ばされないようにペグの部分には大きな石を乗せて万全を期して、びしょ濡れになった衣服を着替え、テントの中に潜り込み、ウイスキーの水割りで明日の登頂を念じて乾杯。 なんと、うれしいmy tentことに携帯電話が使える。早速、妻と職場と数人の知人に電話を入れる。約束通り18時にも、登別のT氏より無線が入り、山の状態や明日の天気予報やコースの助言をいただき、心強い励みとなる。

  しかし、夜中、弱まることのない、時折雨の混じるすざましい強風にテントが潰されるのではという思いで、とうとう一睡もすることなく、ラジオを聞きながら夜明けを待つ。3:30、相変わらずのガスと強風の中、行動開始。朝食を取り、いない間に飛ばされると困るので濡れたままのテントをリュックに詰めてデポし、上下雨具に身を包み、サブザックを背負い、4:35見えない1839峰を目指して出発。


つづく

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