2日目、Oさんの案内で彼以外は全員が初めての富良野岳ジャイアント尾根(Saさんの2Dルート図)へ向かう。メンバーはOさんの仲間の昨日も同行したNaさんを加えた9人である。まず、バーデンかみふらのの駐車場に車を置かせてもらい、車道を200mほど下ったところからヌッカクシフラヌイ川の川原へ下りる。Kiさんがリーダーの帯広労山の5人がすでに入っているので、ラッセルやルート取りの苦労がないのがうれしい。
ヌッカクシフラヌイ川を渡渉する
 まず、この川を渡渉するのだが(1)、この川は上の十勝岳温泉郷の温泉が流れる川で冬でも凍らないのである。スキーを濡らさないでどの様にして渡るのかと興味津々であったが、スキーを脱いで対岸へ投げるのである。あとはストックを便りに石を伝い雪の壁をよじ登るのである。冬の渡渉は初体験だがこれは子供心に変えれる楽しい光景である。
北尾根下部を越える
 そのあと、北尾根の下を通り(2)、この辺りの山を知り尽くしているOさんは、ベベルイ川の谷を越えるときに帯広労山のトレースを辿らないで、帰りに登り返しの必要のないルートを取ってくれた。夏は多分滝になっていると思われるベベルイ川の岩崖の下を通り、ジャイアント尾根に取り付く。この崖の下には染み出した水が見事は太さの氷柱になっているのに感心する(3)。そこからは、かなり急な登りが続くのだが、登り出してまもなく帯広労山の5名が下りてくるのと出会う。彼等によると樹林帯を抜けた上の稜線はものすごい風でとても無理とのこと。
ベベルイ沢の崖下のつららをバックに
 初めはトドマツ林の中の急斜面に彼等の残したトレースを進んで行くが(4)女性が3人もいたとは思えない急なトレースでみんな手こずりながら登ってゆく。だんだん樹林が薄くなり、帰りの滑りが楽しみな斜面が広がっているのがうれしい。目指す上の方はほとんど見えないが、左手の北尾根のやカミホロ荘や凌雲閣の建物が水墨画の世界のようにぼやけて見えている。傾斜が緩んで灌木帯になり尾根が広くなって来るにつれて風が強くなり、斜面もウィンドクラストしてくる(5)。
樹林帯を進む
 目標が無くなるので、Oさんが灌木の枝に黄色の紙テープを結びながら登って行く。益々風が強くなり視界も全く利かなくなってくる。気温も−22℃という厳しい状態である。ときおり雪雲の間から薄日が射し、その方向にずっと尾根が延びているのが覗くこともあるが、1423m 地点で戻ることにする。
樹林帯を抜けて広い稜線を行く
 樹林帯に入るまではウィンドクラストした雪に苦労するが、樹林帯に入った途端気持ちのよい深雪ターンを刻むことができ、思わず声を上げながら思い思いのシュプールを描きながら滑り下りていく(6)。その様子をOさんがビデオで撮ってくれる。ところが、ここでハプニングが2件発生。途中で転倒したkoさんが眼鏡の弦を壊してしまう。幸い替りの眼鏡を持ってはいたが、それは全然合わないらしい。そのすぐ後で、昨日に続いて同行した地元のNaさんがヘルメットを被っているのに額から血を出している。木の枝を潜ったときにちょうどヘルメットとゴーグルの間にその枝がぶつかったらしい。凄い確率の皮肉な怪我である。手当てをしたKak さんによると傷口は2.5cm 程であるらしいが結構深い傷らしい。さいわい、自分でガーゼと幅広の伸縮包帯を持っていたのでそれで救急処置をして滑降とビデオ撮影を続け、最後のベベルイ沢へ下りる急斜面に手こずりながら滑り降り(7)、ベベルイ川の崖下で昼食をとる。
私の深雪滑降(三段山クラブのOさん撮影)
 30分ほどで思い思いの昼食をとり、残り僅かな下りを楽しみ、渡渉地点へ戻る。今度は、並んで一斉にスキー投げを楽しむ。あとは、スキーを担いでつぼ足で車の置いてあるバーデンかみふらのの駐車場までテクテク歩いて戻る。
ベベルイ沢へ下りる急斜面を滑る
 あとは、昨日と同じ温泉とビールであるが、3時のおやつタイムに函館から持参したいかまんまと真いかの三升漬けをご馳走して喜ばれる。夕食の楽しみはほうとう鍋である。 14:00頃から延々 22:30まで飲み続けたことになる。スキー疲れよりアルコール疲れが残ってしまう。

 3日目は、朝から吹雪状態である。遠出もできず、また三段山の2段目辺りまで行って戻ることにしてのんびりと朝を過ごす。10時すぎ、吹雪状態は収まったが、気温は一番低そうで相変わらずの天候である。1段目を登り切った辺りから便意を催し、この寒い中で外で用を足して2段目の滑りを楽しむか、その楽しみを捨てて白銀荘へ戻ってあずましく用を足すか葛藤を続けながら登って行くが、2段目の下で休憩したときに、白銀荘まで戻って用を足す方を選んで自分だけ戻ることにする。下りのターンを楽しみながらも猛スピードのノンストップで白銀荘へ戻る。

 用を足したが、まだ11時前である。これで切り上げるには早すぎる。再び靴をを履きシールを付け直して彼等の下りてくるところまで登るつもりで再出発する。ちょうど1段目の上の方まで登ったところで彼等と合い、そこからまた下りを楽しんでゴールイン。

 ゆっくり温泉と昼食を楽しみ、13時半に解散をして、途中高速道路が吹雪で通行止めになっている悪天候の中を札幌まで戻る。帰りのバスの時間までかなりあるのでKaさんとKoさんが夕食に回転寿司を付き合ってくれる。その後、駅のロッカーにスキーと荷物を預かり最後の日の雪祭りを見て時間を潰し、居酒屋で本を読みながら寝酒を飲んで、23:55 のバスに乗る。

 今年もまた、十勝連峰の姿さえ目にすることのない、悔しいけれど楽しいのんびりと過ごせた3日間であった。 

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